ボール盤にはテーブルの高さを変えられるように昇降ハンドルが付いています。元々のテーブルであれば据え付けのハンドルをくるくる回して高さを変えられますが、自作テーブルにハンドルが干渉して使えません。テーブルをリニューアルする前から干渉していたため、その時はハンドルのシャフト部分を延長してテーブルと干渉しないようにしました。しかしながら、延長したシャフトがぐらぐらするのでシャフトを手で添えながらハンドルを回す必要がありました。そのあたりを改善しました。
グラグラする昇降ハンドルの改善
改善前のボール盤テーブルの昇降ハンドルです。本来のハンドル位置から50cmほどシャフトを延長して、その先に元々のハンドルを付けています。写真手前に見えるのがハンドルです。見づらいですが奥にボール盤のテーブル昇降部分があり、パイプで延長しています。
延長したシャフトは、不要になったタオルハンガーのステンレスパイプを使っています。不要になったものを捨てるときは、分解して部品として保有しておきます。特にステンレス製の部品は高価なので大事です。
Φ16(外径16㎜)のステンレスパイプ受けを作成します。端材を軸受けのような形に加工しています。受けをネジ留めするため穴をあけます。
面取りや表面の研磨は自作のディスクサンダーを行い、最後の仕上げは手でペーパー掛けして完成です。
自作したテーブル台の下に作成したシャフト受けを取り付けたところです。しっかり取り付けできました。
テーブル台の下から見たところです。シャフトに手を添えなくてもハンドルをくるくる回してテーブルを昇降させることができるようになりました。小さいですがストレスが一つ解消できました。
テーブル位置固定レバーの改善
ひとつ改善すると隠れていた不便さが顔を出してきました。テーブル位置固定レバーが奥まったところにあるため、テーブルを昇降する度に緩めたり締めたりすることが億劫になり、緩めたままにしてしまいます。穴明けするときにテーブルがぶれたりして、思わぬところで穴位置がずれてしまうことがありました。
そこで、位置固定レバーも改善することにしました。どのように改善するか1週間ほど考えて、いい方法を思いついたので試すことにしました。
この部分の名称をマニュアルで確認したところ、「テーブル位置固定レバー」、英語のマニュアルでは “table lock handle”となっています。日本語ではレバーなんですね。このレバーを回すことでテーブルを固定したり、緩めたりすることができます。
このレバーはボール盤の支柱の裏側にあるため、正面からは手をぐっと伸ばさないと届きません。また、手を伸ばした時にドリルの刃に引っかかる危険があります。
いい方法というのは、レバーを回さずにレバーの反対側のネジを回して締めたり緩めたりすればよいわけです。前回の改善同様にそのネジを延長した先にレバーを付ければいいはずです。
レバーを取り外してみました。レバーの先のネジを確認したところ、M10でした。M10というのはネジの呼び名で、ざっくりいうと直径10㎜のネジということです。早速、ホームセンターでM10のネジ(実際にはボルト)を買いに行きました。今回の方法は、ネジを延長する必要があるので、70㎜程度の長さのネジが必要でしたが、ホームセンターには、M10で70㎜のネジはありませんでした。正確に言うとM10の長さ70㎜のボルトはあったのですが、ネジ部が70㎜のものがなかったということです。
写真のボルトを例にすると、ボルト長さとネジ部長さはそれぞれの部分を指します。70㎜のボルトはあるのですが、その70㎜すべてにネジが切られていなかったのです。
そこで、M10長さ1mのネジを購入しました。これだけ長いネジでも200円もしません。普段からよくM6、M8の1mのネジを購入して、必要な長さに切ってナットと組み合わせて使っています。
グラインダーを使って1mのネジを70㎜長さに切断します。
切り出した70㎜のネジとステンレスのパイプをつなげます。ステンレスパイプは前回と同様に保管していたものです。太さはΦ9です。M10のネジの方がパイプより太いので、そのままでは嵌りません。
そこで、ネジの先端を砥石グラインダーで研磨して細くしました。
先端を細くしたネジがちょうどパイプに嵌りました。あとはネジとパイプを固定します。
ネジとパイプを固定するために嵌合部に穴を明けます。バイスで金属の丸棒を固定して穴を明けます。また、ドリルの刃が滑って流れないようにポンチで窪みを付けます。丸棒の白い点が窪みです。Φ9に3.5㎜の穴を明けるところです。
切削油(代わりにマシン油)を注して貫通穴をあけたところです。
う~ん。切粉状態になるということはドリルの刃がへたっています。よい切り屑はらせん状になります。
穴を明けたところにバリが出ているので、怪我しないようにバリを取ります。
ネジとパイプを固定します。ここでは、簡単に取り外しができるように固定ピンでとめることにします。工房にあったステンレスΦ2のワイヤを使って固定ピンを作成します。
ワイヤを曲げ曲げして固定ピンを作りました。ちょっと野暮ったいですが自作のいいところです。買っても10本100円もしないのですが、残り9本の使い道が当面ないので自作します。
固定ピンを嵌めたところです。うまく嵌りました。ヘアピンのところを引っ張れば、簡単に抜けます。これでパイプを回せばネジが回ってくれます。
それでは、仮組します。レバーを外して、代わりに作成したネジ付きパイプをねじ込みます。ここで、レバーは右側から抜いていますが、ネジ付きパイプは左からねじ込んでします。ここがミソです。
ねじ込んだところです。反対(右側)からネジ頭が出てきています。このままでは、いくらパイプを回してもテーブルを固定することができません。右側から出てきたネジ先端をダブルナットで固定します。そうするとレバーを右から取り付けた状態と等価になります。
ネジ頭にダブルナットをすることでナットをネジに固定することができます。ダブルナットとは、ナット同士を締め付けることで、結果としてネジを締め付けナットが回らなくなります。
これにより、パイプを回すことで締め付けることができ、テーブルを固定できるようになります。
あとは、Φ9の細いパイプにレバーを取り付け、回しやすくすればいけそうです。
改善の仕組みを動画にアップしましたのでご覧ください。
それでは、前回同様にパイプに手を添えなくてもよいようにパイプ受けを作ります。前回作成したパイプと並行するので2本差しできるパイプ受けを作ります。木片に2本差しのパイプ受けの罫書をしました。Φ16が前回の昇降ハンドル用の位置です。Φ9が今回の固定レバー用の位置です。かなり近いです。
加工しやすいように最初に必要な穴を明けておきます。
次に、ジグソーテーブルを使って罫書線に沿って切削します。
ジグソーテーブルでは、正確に切削は難しいのでざっくりカットして研磨で仕上げていきます。
ディスクサンダーを使って、仕上げていきます。凹部はディスクサンダーでは研磨できないのでペーパーで仕上げます。
2本差しのパイプ受けが完成しました。先週作成したものとツーショットです。先週作ったパイプ受けは1週間の活躍でした。まだΦ16のパイプは余っているので、他で使えるかもしれません。大切に保管しておきます。
次にΦ9のパイプに付けるレバーを作成します。レバーを木片に罫書しました。
パイプ受けと同様に先に穴を明けてから、ざっくりカットしてディスクサンダーで仕上げました。
Φ9のパイプにレバーを取り付けました。あらかじめパイプは必要な長さにカットしています。レバーの取り付けは、パイプにレバーを取り付けておき、レバーとパイプ一緒に穴を明けてネジ留めしました。
前回のパイプ受けを外し、2本差しパイプ受けに変更しパイプを取り付けました。レバー側がハンドル側パイプに干渉するように見えますが大丈夫です。
この位置までレバーを反時計回りに回すことでテーブルを固定できます。また、元の位置にレバーを戻せばテーブルは自由に動くことができます。レバーを一回転する必要なく、パイプと干渉せずに済みます。
動画をアップしましたので、ご覧ください。