【道具・工具】簡単!エアーコンプレッサーのドレンコックをネジ式からレバー式に交換しました。

道具・工具

 エアーコンプレッサーのドレンコックは、エアータンクの一番下にあるため手が届き辛く、ドレン抜きが億劫になりがちです。

ドレンとは

 エアーコンプレッサーのドレンとは、コンプレッサーに吸い込まれた水蒸気を含む空気が圧縮され、大量の水分を含んだ高温の圧縮空気となった後に、エアータンクで冷やされていく過程で結露し溜まった水分のことを指します。ドレンには、圧縮空気中の水蒸気が凝縮してできた水、または水とコンプレッサーの潤滑油などが混合した白濁液があります。

 工房にあるエアーコンプレッサーは、オイル式のため水と潤滑油が混ざった白濁液が出てきます。特に日本の夏場は高温多湿のため、夏場のエアーコンプレッサーの使用ではドバッとドレンが出てきます。

ドバッ」て、どれぐらいやね

 「ドバッ!」てどれくらいか計算してみました。下表は、飽和水蒸気量一覧表や露点換算表から部分的に抜き取って、湿度から水蒸気量を計算したものです。

気温(℃)飽和水蒸気量(g/m3湿度(%)水蒸気量(g/m3
4051.17035.8
3539.67027.7
2017.27012.0
25.561005.6

 気温35℃、湿度70%でエアーコンプレッサーを使用し、空気圧0.7MPaで圧縮したとします。
工房にあるコンプレッサーは、吐出量が90L/minです。これを10分間使用した場合にどれだけドレンが発生するかを計算してみます。

 表から気温35℃湿度70%には、27.7g/m3の水分が含まれていることがわかります。
また、温度35℃で0.7MPa圧縮時における圧縮下露点を大気圧下の露点に換算すると、気温2℃に相当します。この換算表は割愛します。
表より、気温2℃湿度100%(エアータンク内の閉じた空間のため100%と見なす)の場合、5.6g/m3の水分が含まれることになります。
以上より、1m3当たり22.1g(=27.7-5.6)の水分が発生します。

ここで、エアーコンプレッサー使用時の空気量は、吐出量90L/min(=0.09m3/min)×10minから0.9m3になります。


したがって、ドレン量は、19.9g(=22.1×0.9)になります。

ドバッ!」て、19.9gということです。

ドレン抜きを怠ると

 ドレンには、空気中に含まれるチリやホコリ、オイル式コンプレッサーの場合は油分が含まれています。これらのドレンがエアータンクに溜まると、サビが発生したり、エアーツールが故障したりする原因になります。特に、サビにより腐食が進むと最悪の場合エアータンクが破裂して非常に危険です。
エアーコンプレッサーを使用した場合は、必ずドレンを排出(ドレン抜き)するようにします。
ところが、最初に書いたようにドレン抜きのためのドレンコックがエアータンクの下に付いているため、屈んだ姿勢で手を伸ばしてネジを回してドレンボルトを抜く必要があります。

 自作サンドブラスターの背後にエアーコンプレッサーがあり、そのとなりに補助タンクがあります。補助タンクもドレンコックがあるため、2つともネジを回してドレンボルトを抜く必要があります。

億劫になりますよね

これは、補助タンクのドレンコックです。ネジ式になっており、ネジを回してドレンボルトを抜きます。
 注意書にも、「ご使用後は必ず水抜きを行ってください。」と書いてありますね。

ドレンコックをレバー式に交換

 自作サンドブラスターも気軽に使えるようにしたいので、ドレンコックをネジ式からレバー式に交換しようと思います。

 ネット通販で見つけたのがこれです。送料込みで千円を切っています。これを2個購入しました。
仕様は以下です。
ネジサイズ:1/4
最大使用圧力:1MPa

 これが現物です。
当たり前ですが購入時の注意点は、ドレンコックのネジサイズをコンプレッサーのネジサイズにあったものを購入することです。コンプレッサーのネジ径は、コンプレッサー側のドレンコック本体をタンクから外さないとわからないので厄介です。
もう一点は、ドレンコックの最大使用圧力がコンプレッサーの最大圧力以上であることです。

 写真下側がコンプレッサー側のドレンコックです。ドレン抜きをする場合は、右側の取っ手がついたドレンボルトを外します。左側がエアータンク本体に固定されているものです。固定側のネジ径と合わせることが必要なため、タンクから外して確認する必要があります。

ネジサイズ 1/4とは

 ネジサイズ 1/4 は、1/4 インチを意味しますが、1 インチは約 25.4㎜(ミリメートル)なので、1/4 は約 6.35㎜となります。でも、実際、ネジの外径はそんなに細くなく約13㎜あります。

えっ!、どういうこと?

 昔は、管の内径を1/4, 3/8 などと呼んで区別し、その外側に切るネジ山の規格を定めたそうです。製造技術の進化で管の強度が高まるほど以前ほどの肉厚が必要なくなりましたが、ネジ山が合わないと従来の管と接続が出来ないため、互換性を維持するために外側をオリジナルの管と同一にして同じ寸法のネジを切り、内径を広げて肉厚を薄くすることにした。昔の名残で今でも1/4, 3/8などと呼んでいますが、高強度の管ほど内径が1/4, 3/8より大きくなっています。したがって、実寸ではなくインチ呼び径1/4と考えます。下表を参考にしてください。

インチ呼び径ねじ山数雄ネジ外径(㎜)雌ネジ内径(㎜)
1/8289.7288.556
1/41913.15711.445
3/81916.66214.95

 もっと詳細を知りたい方は、管用テーパねじ規格表(JIS B 0203:1999)、管用平行ねじ規格表(JIS B 0202:1999)を参照してください。

ドレンコックの交換

 前置きが長くなりましたが、ネジ式からレバー式のドレンコックに交換します。

 タンク底に付いているドレンコックです。これを外します。

 レンチを使ってドレンコックを外しました。空気が漏れないように締め付けられているので力が要ります。
 空気漏れを防ぐために樹脂で固められていました。穴の周りの樹脂が残っているので綺麗に取り除いておきます。

 レバー式ドレンコックのネジ部にシールテープを巻いたところです。
 シールテープの主な素材はテフロン(ポリテトラフルオロエチレン)です。これは、その耐水性・耐薬品性が高く、漏水を防ぐ効果に優れているためです。シールテープは、水道管や空気管、油圧の配管など、液体や気体を導く配管の接続部分等に生じた隙間を埋めるために使用します。
 巻く方向は、ネジの回転方向つまり時計回りに巻きます。逆ネジの場合は反時計回りに巻きます。巻き回数は、今回、3回巻きにしました。

 タンクにドレンコックをねじ込んだところです。しっかり締め付けた上で、ちょうどレバーが扱いやすい位置になるまでねじ込みました。

 拡大したところです。写真のレバー位置は閉めた状態です。レバーを90度回せば完全に開いた状態になります。
閉めた状態でエアーコンプレッサーを稼働して空気漏れがないことを確認して完了です。

 ちなみに、ドレン抜きする際は空気圧が0.1MPaほど圧力が残っているときにドレン抜きをすると、タンク内にある水分を勢いよく排出できます。

まとめ

 今回は、エアーコンプレッサーのドレンコックをレバー式に交換しました。これにより、ストレスなくドレン抜きをすることができるようになりました。
 また、ドレンの発生量についても計算してみました。夏場の湿度の高いところでの使用では、結構な量のドレンが発生することがわかりました。ドレンを放置するとタンク内のサビ発生の原因にもなり、ドレン抜きの重要性を再認識できました。

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