自転車のライトが壊れたと息子が言いながらバイトから帰ってきた。ライトが点灯しなくなったのかと思ったら、ライト部の金具のところから折れたようだ。
原因は金属疲労のようです。自転車の運転中の振動で折れたようです。
ダイナモライトとは
我が家の自転車のライトはLEDのダイナモライトです。ダイナモ式ライトとは、タイヤの回転する運動エネルギーで発電機を回することで電気エネルギーに変換して、発生した電気でLED(電球)を点灯させるライト方式です。
さらに発電方式の違いで以下の2種類があります。
ブロックダイナモ:発電機をタイヤの側面に押し付けて発電するタイプです。安価ですが摩擦(抵抗)が発生するため漕ぐのが重たくなる欠点があります。
ハブダイナモ:タイヤの車軸の回転を利用して発電するタイプです。ブロックダイナモに比べて抵抗が少ないメリットがあります。
我が家の自転車はブロックタイプのダイナモライトということです。
修理方法の検討
さて、修理の方法は2種類ぐらいでしょうか。
最初は金具を交換しようと思いましたが、金具のネジが外れませんでした。
こういうときはネジ取りインパクトドライバがあると便利なんですが、持ち合わせていません。
ネジ取りインパクトドライバは、ハンマーで叩いた打撃で先端のビットが僅かに緩める方向に回転して、なめたネジや錆びたネジを緩めます。
ということで、金具の交換はできそうにないので、溶接する方法で修理することにします。早っ!
金具の溶接
細かい箇所の溶接ができるかがポイントです。
溶接するには外装のプラ(スチック)が邪魔です。溶接時に溶けてしまいます。
分解して金具部分を取り出します。
底のプラ部を外します。ネジと2点の爪で固定されていました。
底蓋のプラを取ると、問題の金具部分が簡単に外せました。うまく作られています。
作業前に汚れをパーツ洗浄スプレーで落としておきます。
ホームセンターで840ml入りスプレー300円程度で売っているので一家に1本あると便利ですね。
溶接台に金具を固定します。ツールクリッパーで固定しています。折れた個所を合わせて動かないようにする必要があります。
溶接したところです。すこしダマになりましたがズレずに溶接できました。
金具の裏側です。裏側も溶接しておかないと簡単に折れてしまいます。
カップワイヤブラシでスラグを研磨します。
きれいに汚れは落ちました。まだ、ダマが目立ちますね。
大きなダマは鉄工ヤスリで研磨して、そこそこきれいになりました。ネジが外せたらもっときれいに磨けるんですけどね…
まあ、しっかり溶接できました。
ゴムローラーの修理
ダイナモライトのゴムローラーがひどく痛んでいます。
タイヤと接して、ゴムローラー頭の部分が破れています。このままではタイヤも傷つけてしまう恐れがあります。
ネットで検索してみても純正のゴムローラーは見つからず、ブリヂストンからは販売されているようですが、合うかどうかはわかりません。
値段は1個300円前後あたりだが、送料別なので要注意です。場合によっては送料800円のところもありました。
ということで、ゴムローラーを修理してみます。
ビニルテープを巻こうかどうしようか考えていて、思い出しました。
そうだ、液体ゴムがあったんだ!
液体ゴムを塗って修理しよう。液体ゴムは塗料のように液体で、塗って乾けばゴムになるという優れものです。
1回目は、指で塗っていましたが、2回目からは頭を液体ゴム容器に浸けるようにしました。これなら均一に塗れてよさそうです。
これを合計4度塗りしました。
一晩乾かしました。乾いた後の写真を撮り忘れました。(涙)
液体ゴムは透明(クリア)だったので、ブラックでスプレーしました。
頼りないかなと思いましたが、乾いてみると丈夫そうでした。
破れたところも修復できました。
あと数回重ね塗りしてもよかったかな、と思いました。
ダイナモライトの組み立て
修理が一通り完了しました。ダイナモライトの組み立てです。
ダイナモライトを分解した部品一覧です。ゴムローラーを入れるのを忘れました。ごめんよ。
プラ底蓋には、金具(ケーブル端子)があります。なくさないように正しい向きに嵌めておきます。
最初にゴムローラーをダイナモ(発電機)の頭に嵌めます。
プラ外装の底からダイナモを押し込みます。
後でゴムローラーを嵌めるのは厄介です。
金具付きライトを取り付けます。
配線(先に「配線のしかた」を見てね)をして、プラ底蓋を押し込みます。プラ外装側に2つの爪があるので、カチッと爪がかかるまで押し込みます。1つひとつ爪をかけていくのが多少楽と思います。
蓋が嵌れば、ネジ止めして組み立て完了です。
配線のしかた
忘れがちな配線のしかたを説明しておきます。配線忘れに気づくとガックリきます。_| ̄|○
プラ底蓋は片側の爪だけにかけた状態にします。その状態でプラ底蓋から飛び出している金具を指で押し込みます。ちょうど金具の頭だけが見える程度まで押し込みます。
金具を押し込むとプラ底蓋の穴と金具の穴の位置が合うので、ケーブルを通します。ケーブルの被覆を剥いた部分が金具にかかるようにします。この金具部分にダイナモで発電された電気が流れてきます。
プラ底蓋を押し込み、爪にかけます。そうすると、金具の頭が持ち上がり、ケーブルが挟み込まれて固定されます。
この時、穴に通したケーブルが抜けないように注意しながらプラ底蓋を押し込みます。
もし、金具の頭があまり出てこないときはペンチなどで金具頭を引き上げるとよいです。
修理が完了したので、テストです。ゴムローラー部を手で回してみてLEDが点灯するか確認します。
点灯することを確認できました。配線も問題ありません。
ダイナモライトの取り付け
さて、ダイナモライトの修理と組み立てが終わりましたので、自転車に取り付けます。
取り外した逆順に取り付けます。反対側は緩み防止ワッシャをナットに入れて、ボルトで締め付けます。
締め付けるときは、こちら側はプラスドライバーを差し込み、反対側はM6レンチでナットを固定します。それぞれ締まる方向(時計回り)に回してしっかり締め付けます。走っているときに緩んでこないように締め付けます。
ダイナモ本体は、ライトの位置がだいたい水平になるように固定します。
大事なのは、ダイナモ本体を寝かしたときにゴムローラーがタイヤの側面に接するようすること、かつ、タイヤ以外に当たらないようにします。特に、ダイナモ頭が泥除けに当たらないようにします。また、ライト本体がスポークやリムに当たらないようにします。
光軸の調整は、ライトを固定しているネジを緩めて調整します。上下にそれぞれ20°程度調整することができるので、夜間に10m先の道を照らすように調整します。
まとめ
今回、自転車のダイナモライトを溶接して修理しました。また、ゴムローラーを液体ゴムを使って修復しました。
溶接修理(分解、洗浄、溶接、組立含む):1時間
ゴムローラー修復:1回の塗りは1分×4回分、乾燥:1日
費用:0円(液体ゴムを購入した場合:1780円)
実はこのダイナモライト(Panasonic NSKL138)を新品で購入しても、1200円前後です。値段じゃなくて使えるものは使い切りたいですね。
今回のDIYは、SDGs 17の目標のNo.12の「つかう責任」ですかね。「つくる責任」は、使い続けられる仕組みがほしいですね。