コロナ禍の対策が緩和になって、最初のGW(ゴールデンウイーク)がもうすぐやってきます。3年間控えていた外出が一気に解放されると思います。車の複数台持ちで、普段の近場は軽自動車を使って、遠出に普通車を使い分けている家庭ではこのGWは注意が必要です。
車のトラブルランキング
国土交通省の「令和3年度路上故障の実態調査結果」によると、一般道路では1位がタイヤ、2位がバッテリーと他の部位に比べてダントツの結果になっています。高速道路では1位がダントツのタイヤです。どちらもタイヤが1位というのは、タイヤは唯一道路に接地している部位であり、釘のような鋭利な金属片や突起物を踏んでパンクしてしまったり、タイヤの劣化や傷のある状態で高速走行や加速やブレーキングという負荷のためにバーストしたりと、頷けるところです。
一般道路の2位のバッテリーの結果は、エアコンやオーディオの稼動、さらに渋滞により走行距離が延びず発電低下を引き起こしバッテリーが上がってしまうのでしょう。
車の日常点検
上記の結果から、車の日常点検では以下の項目をしておきたいところです。特にGW中、車での遠出をするなら、これだけは点検しておきたいです。ランキングから見ると点検しておけば車のトラブルのほとんどはカバーできるように思います。タイヤ、バッテリー、冷却水、エンジン・オイル以外の原因で故障してしまった場合は、割り切るしかなさそうです。
電気自動車のバッテリー上がりとは?
ところで、TVや新聞で電気自動車の話題をよく見聞きするようになりました。極々僅かずつですが電気自動車の数が増えてきているのも事実です。
電気自動車の場合、ガソリンなど燃料車のようなバッテリーの考え方ではなくなるのでしょうか?
燃料車の場合、ロードサービスでバッテリ交換してもらうか、他の車(救援車)からブースターケーブルを繋げてエンジンが掛かれば動けるので近くのガスステーションでバッテリー交換で対処しますが、電気自動車がバッテリー上がりした場合、充電スタンドまでレッカー移動になるのでしょうか?
気になると調べないと気が済まない…、眠れなくなる…
電気自動車にはバッテリーが2つある!
ということで、ググって驚きました。電気自動車にはバッテリーが2つありました。
まさに走るための「走行用バッテリー」とガソリン車のバッテリーに相当する「補機用バッテリー」があるということです。私は走行用と補機用合わせて1つのバッテリーで賄っていると思っていました。調べるもんですわ、勉強になるわ~。
だから、電気自動車のバッテリー上がりには2種類あるということです。ガソリン自動車と同様に補機用バッテリーが上がる場合と走行用バッテリーが上がる場合です。自分で直せるのは、「補機用バッテリー上がりの場合」だけです。
補機用バッテリー上がりの対処
補機用バッテリー上がりの対処は、ロードサービスか救援車によりブースターケーブルで電力をもらい充電させてもらいます。エンジンがないので充電する必要があり、対処にも時間がかかります。
走行用バッテリー上がりの対処
走行用バッテリー上がりの対処は、ロードサービスか業者によるレッカーで最寄りの充電施設までけん引してもらう必要があります。ちなみに、ガソリン車では、ガソリン切れのことを「ガス欠」と言いますが、電気自動車では、電気が切れることを「電欠」というそうです。(Microsoft IMEの文字変換では『電欠』が出てこない)
なお、業者やロードサービスによって費用が異なるため、依頼する前に必ず費用を確認して、納得してから依頼しましょう。
17万キロ超えのステップワゴンのバッテリー交換
さて、本題に戻ります。愛車のホンダ・ステップワゴンの走行距離が17万キロを超えました。故障知らずのいい奴です。愛車の割には今までバッテリー交換を自分ではやったことがありませんでした。たぶん、バッテリーを通算3回ほど交換していると思います。1度目は家族旅行で行った白浜でした。ロードサービスを呼んでブースターケーブルでエンジンを掛けてもらい最寄りのガスステーションで交換しました。あとの交換は車検の時にディーラーで交換したもらったと思います。
去年の暮あたりからエンジンのかかりが悪くなってきていましたが、定期的に長距離運転をしていたので、だましだまし乗れていたと思います。最近、1か月ほど乗る機会がなくなり、久しぶりにエンジンを掛けてみると、スターターモーターがピクリともしませんでした。チ~ン。
家の駐車場でバッテリーの寿命が来たので、自分で交換しようと思いました。
サービスマニュアルの確認
2007年式ステップワゴンでGタイプなので、バッテリーの容量が36AH(5)、タイプが46B24Lということがわかりました。
バッテリー本体の確認
実物のバッテリーを確認します。バッテリーには「46B24L」とマークされていました。つまり、容量の36AH(5)は購入には不要です。タイプが分かればで購入できそうです。
バッテリーのタイプとは
後学のために、バッテリーのタイプについて確認しておきたいと思います。バッテリーの規格は「JIS D 5301 始動用鉛蓄電池」で決められています。
JIS規格による公称電圧12Vの蓄電池についての規定を以下に簡単に示します。バッテリーには、他にも種類があり、その種類ごとに規格が決まっています。
例えば、アイドリングストップ車用(電池工業会規格(SBA))、VRLA/制御弁式バッテリー(トヨタ系ハイブリッド車補機用)、日本車用専用EN規格バッテリー(電池工業会規格(SBA))、欧州車用(EN・DIN規格)などがあります。
性能ランクは、以下の式で表されます。
性能ランク=(CCA×RC)^0.5/2.8 (便宜上、^0.5は平方根を意味します。)
CCA値:コールドクランキング電流と呼ばれ、そのバッテリーのエンジン始動性能(瞬発力)を示します。
RC値 :定格リザーブキャパシティと呼ばれ、そのバッテリーの体力(スタミナ)を示します。
つまり、バッテリー性能はそのバッテリーの瞬発力と体力で表したものということになります。
ステップワゴンのバッテリー型式46B24LのCCA値とRC値は下表になります。あと、5時間率容量というのがあります。これは、ステップワゴンのバッテリー容量として記載があった「36AH(5)」のことです。つまり、(5)は5時間率での容量という意味です。
バッテリー型式 | CCA(Ah) | RC(分) | 5時間率容量(Ah) |
46B24L | 295 | 56 | 36 |
普段、どうでもよいことですが…
5時間率容量というのは、満充電にしたバッテリーが25±2 ℃の状態で、5時間率容量を5分の1にした電流(※)で終止電圧が10.5Vになるまで供給可能な電気量ということです。
※5時間率容量を5分の1にした電流=36/5=7.2 (A)ということです。
バッテリーの購入
さて、知識も蓄えたのバッテリーを購入します。本当のところ、バッテリー型式がわかっておれば購入できます。わからなければスタッフに聞けばよいだけです。(笑)
近所のカー用品店に買いに行きました。バッテリーを持っていくことを忘れてはいけませんね。購入と同時に引き取ってもらうためです。
バッテリーの取り外し・取り付け
バッテリーの取り外し、取り付けには手順があります。これを守らないと感電する危険があります。新品のバッテリーでは大電流が流れるので感電すると命取りになります。
バッテリーの取り外しは、最初にアース側(マイナス⊖端子)から外します。そのあとに残りのプラス⊕端子を外します。最後にバッテリーを固定しているステーを外します。
バッテリーの取り付けは、最初にバッテリーをステーで固定します。次にプラス⊕端子を接続します。最後にアース側(マイナス⊖端子)を接続します。
理由は以下の通りです。
(1)アース側の線は車体の金属部に接地されています。作業中は何かと車体のどこかに体が触れているものです。誤ってバッテリーのプラス端子に指など体の一部が触れてしまうと感電してしまいます。
(2)作業中の工具などでプラス端子と車体が接触してしまうと、ショート(短絡)し火花が飛び、オイルなどに引火して火災になり大惨事になりかねません。
残念ながら、バッテリーの取り外しの写真を撮っていませんでした。
バッテリーの購入
お店のスタッフに声をかけて、バッテリーを見せてこのタイプのバッテリーを尋ねました。
案内してくれて、46B24Lはなくて、55B24L、60B24L、…と55以上しかないとのこと。「55」の数字が大きいほど性能がよいと説明があった。勉強した通り。
既に17万キロ走ってきたステップワゴンに高性能なバッテリーは不要だったし、一番下のグレードでも元のバッテリーより性能がよかったので、「55B24L」で即決しました。値段は16,000円也。
製品保証は、2年または3万キロでした。3万キロ走ったら20万キロ超えだなあと思いながら精算しました。また、不要なバッテリーも無料で引き取っていただきました。
このバッテリーは販売元がイエローハットで、輸入元がボッシュで、原産地が韓国と多国籍なバッテリーです。(笑)
バッテリーの取り付け
さて、バッテリーの取り付けです。取り外したときの逆順で取り付けていきます。
ここがバッテリー設置場所です。ずいぶん汚れています。
バッテリー端子を間違わないように大きく⊕と⊖を示してくれています。このバッテリーは取っ手まで付いて親切設計です。取っ手があると重たいバッテリーを安全に持ち運べます。
ヨッコラセと設置しました。端子にはキャップも付いていて安全に取り扱えます。
バッテリー固定のステーです。これは上下締めタイプのステーです。
JIS規格には固定方法が3つあり、上下締め、斜め締め、横締めがあり、固定強度の規定もありました。それだけバッテリーの安全性には厳しいということでしょう。
バッテリー取り付けで一番時間がかかったのが、このステーの取り付けです。L字になっているところをバッテリーの底になる金具に引っ掛けるのですが、暗い上に狭いので難儀しました。
挙句にナットを締め付けようとしてレンチをその隙間に落としてしまいました。
物差しに磁石をつけて、応急のマジックハンドをこさえて、無事レンチを取り出すことができました。( ´ー`)フゥー...
プラス⊕端子側を接続しました。バッテリー端子の奥まで差し込んでナットで固定して、赤いキャップを被せました。端子に触れさせないようになっていますね。
最後にマイナス⊖端子を接続しました。こちらも端子の奥まで差し込みナットで固定しました。
エンジンが掛かることを確認して完了しました。バッテリー取り外しは15分程度でしたが、取り付けはステーの取付け作業やトラブルもあり40分ほどかかってしまいました。
バッテリーが新品になり、走りが力強くなりました。おそらくプラグのスパークがよくなり燃焼効率がアップしたのではと思います。
まとめ
今回は、初めて自身でバッテリー交換をしました。バッテリーの取り扱いには注意が必要です。注意点を守って作業をすることで安全に交換することができました。主なポイントを以下に列挙します。
・バッテリー交換では、車のバッテリー型式を確認します。
・購入時は同じ型式か性能のよい型式を選びます。
・不要なバッテリーは購入店で引き取ってもらいます。
・バッテリーの取り外しは、アース側から外します。
・バッテリーの取り付けは、最後にアース側を接続します。