【家アラカルト】キッチン隙間収納、スライドレール・ストッカーをDIYしました ~製作編~

家アラカルト

 設計してからずいぶん時間がかかってしまいました。部品数は少なく、構造も簡単だったはずですが、材料が手に入らず材料から自作する必要もありました。
W杯もあり、目が離せなかったのも一因ですね。(笑)
大掃除やら、思い付きでやってしまった駐車場の防草対策やらでとうとう年越ししてしまいました。💦

有孔ボードの作成

 コロナ禍で木材不足の状態が影響しています。今回、使用する予定の有孔ボードが手に入りませんでした。欲しいサイズは、厚み5.5㎜でサイズ910×910㎜のシナ合板の有効ボードです。この厚み5.5㎜というのが近所のホームセンターにはどこも品切れで入荷見込みなしの状態でした。厚み4㎜のものならあるのですが、薄すぎて強度不足で使えません。

 そこで、ネット検索して在庫のある専門業者に見積り依頼したところ業者ではなく個人購入ということで送料が高くホームセンターより倍近くの値段になってしまうので諦めました。

 普通の厚み5.5㎜のシナ合板なら、在庫は少ないものの手に入れることができましたので、仕方なく最終手段を取ることにしました。厚み5.5㎜のシナ合板から有孔ボードを自作することにしました。

シナ合板のカット

 欲しい有孔ボードです。これを自作します。

 購入できた厚み5.5㎜、910×910㎜のシナ合板です。手狭な工房では、手に余るサイズです。普段ならホームセンターでカットしてもらうのですが、厚みが5.5㎜と薄いので今回は工房でカットすることにしました。

 910㎜の長さをテーブルソーでカットするには、テーブルソーの奥(写真左側)も空けておく必要があります。空けるだけでなく、送った板が落下しないようにテーブルも必要になります。
 そこで、工房の壁側にテーブルソーのテーブル高さと合わせ棚を設置しました。

 どれだけ奥行が必要になるかアニメーションで示してみました。
 長さ910㎜の板を切ろうとすると青色の矢印ように1820㎜以上の奥行きが必要になります。

 奥に設置したテーブルのおかげで安全に安定してカットすることができました。

 図面に合わせてシナ合板を554×605㎜にカットしました。

穴あけ作業

 工房に余っていた有孔ボードの端材をテンプレートにして、シナ合板に穴をあけます。
テンプレートを合板に重ねて、マスキングテープで固定しました。

 さらに、穴を開けた際に裏面にできるバリが少なくなるように、穴が開く位置にもマスキングテープを貼りました。

 あとは、ひたすらドリルで穴開けです。テンプレートの端まで穴を開けたら、テンプレートをずらして穴開けを繰り返します。

 テンプレート分を開けたところです。表面はきれいに開けることができました。

 裏面は、いくらかバリが出て、酷いところは周辺も剥がれていますね。もう少しゆっくり開ければ、多少バリを抑えられそうですが、ザクザクと勢いで開けてしまいました。
 穴開けにはインパクトドライバーとドリルドライバーを交互に使いました。特にインパクトの方がモーターが焼けそうなぐらい熱くなりました。

 ふぅ~。明け切りました!横22個、縦24個、合計528個の穴あけでした。作業時間はちょうど1時間でした。
 写経をした後の心境でした。(一度だけ写経をしたことがあります。)

ちなみに、こちらの写経の文字数は276文字です。写経よりハードワーク⁉

 こちらが裏面、中央あたりが穴にバリが多くあります。気が緩んだんだと思います。
修業が足りんわ~

有孔ボードの塗装

 板を取り付けるところは、塗装しないようにマスキングします。

 アクリルスプレー(白)で塗装します。

 塗装後にマスキングを剝がします。いつも剝がすときはワクワクします。

 綺麗に塗装できました。

ストッカー本体の作成

 次は、ストッカー本体を作成します。ストッカー本体は、有孔ボードに底板と背板を取り付けたものです。

 設計したときのストッカー本体の図です。

底板と背板の作成

 調味料を収納するストッカーなので、水や油に強い材質にしたく、メラミン化粧板(600×300×18㎜)を使うことにしました。
 メラミンとは、「メラミン樹脂」のことでアミノ系の熱硬化性樹脂で、メラミン(C3H6N6)とホルムアルデヒド(CH2O)との合成樹脂のことを指します。硬度が高く、耐熱性・耐水性・耐候性・耐摩耗性に優れているのが特徴で、キズに強く、焦げにくいので、キッチン家具に使われます。

 テーブルソーで化粧板をカットします。奥の送り用テーブルが便利です。遠回りしたけど作ってよかった~。

 底板と背板の化粧板ができました。

ストッカー本体の組み立て

 有孔ボードに底板と背板を直角になるようにクランプで固定します。また、切った木口が表から見えないよう組み合わせます。

 底板と背板を有孔ボードにコーススレッドで取り付けます。

 底板と背板を直角で取り付けられるようにガッチリクランプで固定します。

 板が割れないように下穴開けと皿モミをします。

 コーススレッド(木ねじ)で留めます。皿モミしているのでねじ頭がきれいに収まります。

 ストッカー本体ができました。

棚の作成

 ストッカー本体に取り付ける棚を作成します。

 設計した棚です。棚板に2本のフックを取り付けて、そのフックにガードレールを溶接します。

棚板の作成

 百均で購入したリメイクシートです。これを棚板に貼ります。

 ぴっちり折り目が付いたリメイクシートです。ロールで販売されるとよいのですがね。

 ドライヤーで温めて折り目を伸ばしながら貼っていきます。

 めっちゃ手間がかかったリメイクシートでした。

 リメイクシートを貼った後に棚板寸法にカットしました。

フックの作成

 実寸で印刷したフックの図面です。これに合わせて作成します。

 フック作りでいつも使っているなまし鉄線です。20㎝にカットしてフックを作成します。

 バイスで治具を固定してハンマーでなまし鉄線を曲げていきます。

フックの曲げ方については、以下に詳細を紹介しています。ご参考に。

 フックを6本作成しました。だいたい同じように作成できました。

フック金具の焼入れ

 なまし鉄線は柔らかい鉄線です。軽いものを引っかけるならそのままでも問題ありませんが、調味料入れを載せるので、強度に不安があります。そこで、作成したフック金具を焼入れして強度アップしたいと思います。

 焼入れとは、金属を所定の高温状態から急冷させる熱処理です。焼入れを行うことにより、鉄鋼材を硬くして、引張強さ、疲労強度などの強度を向上させることができます。

 焼入れ方法は、鉄鋼材を800℃~850℃程度に熱して、油や水で急冷します。その後、300℃~400℃程度で再加熱して焼き戻しすることで粘りのある強度に向上させることができるようです。

 早速、焼入れ処理をします。用意したものは、以下です。

焼入れで用意したもの
  • 火炎温度1400℃のバーナー
  • 炉の代わりの鉢
  • 冷却用のバケツの水

 焼入れの様子を動画にしましたので、ご覧ください。

ガードレールの作成

 次に、ガードレールの作成に入ります。ガードレールの材料には、3×16×1820㎜の平鋼2本を購入しました。

 平鋼を寸法に沿って、ハンドグラインダーでカットします。

 予備を含めて4本分カットしました。端面のバリや角は卓上グラインダーで研磨しました。

 バイスを使って平鋼を曲げていきます。ガイドレールはできるだけ直角に曲げたいです。まずは手でざっくり曲げます。

 あとは、ハンマーで叩いて、直角に曲げます。丈夫な万力が欲しいなあ~。

 ガードレール4本の曲げが完了しました。

フックとガードレールの溶接

 ガードレールにフックを溶接したところです。相変わらずの出来です。フックが細いため、2回、溶接の際に溶けてぽろっと千切れてしまいました。
 TIG溶接機が欲しいなあ~。

 溶接関連は以下にまとめています。ご参考まで。

 溶接部を研磨して、塗装するとそれなりに見えますね。(o^―^o)ニコ

棚の組み立て

 棚板側にフックを差し込めるように溝と穴をあけます。穴深さは40㎜です。棚板からフック金具がはみ出さないように溝をつけています。穴はフックの直径より少し小さい穴径にします。

 こんな感じに、フックの先を棚板の穴に押し込みます。金具を傷つけないようにゴムハンマーで叩いて押し込みます。

 押し込んだところです。溝の奥まで押し込むので、最後はピンポンチを使って叩き込みます。
ポンチには、先端が尖ったセンターポンチと先端が平なピンポンチがあります。

 棚板にフックを取り付けたところです。

 最後に棚板の木口に化粧テープを貼ります。見た目がよくなります。

 棚板の厚みは15㎜ですが、テープは18㎜です。はみ出したテープは、カッターでカットします。さらに、仕上げに化粧テープカンナを使って、角を綺麗に切り取ります。
白い屑が切り取ったテープ屑です。

 もうひと手間をかけます。厚みのあるテープでは、棚板の角を跨ぐと少し浮いてしまいます。
そこで、ドライヤーの熱風でテープを柔らかくして押さえて密着させます。

作成した棚をストッカー本体に取り付けたところです。いい感じにできました。

キッチン隙間に組付け

 いよいよ、キッチンの隙間にストッカーを組付けます。

 扉の金具を取り外しました。この扉は、ストッカー本体に後で取り付けます。

 購入したセルフ&ソフトクロージング機構付きスライドレール[4670-550]です。初めてのソフトクロージング機構付きですが、確認したところ、引っ張り出しが重いことがわかりました。
詳しくは設計編を参照ください。
 もしかすると使えないかも…

 ストッカー本体の裏面にスライドレールを取り付けます。

 仮組みしてみましたがやっぱりダメでした。スライドレールのバネが強すぎてストッカーを引き出すのに力が必要でした。

 そこでセルフ&ソフトクロージング機構を取り外して、普通のスライドレールとして使うことにしました。幸い、簡単に取り外せました。いい設計していますね。

 スライドレールの位置を調整して、ストッカーが収納できました。

 最後に扉をストッカーに取り付けます。今回、取り付けのために使うアングルブラケット(コーナーブラケット)です。これは家具などの板同士を固定する際に使われます。
ネジ留め後にキャップをすれば見栄えもよくなります。

 類似のものでは、こちらでも販売されています。

 こんな感じで右側の扉と左側の有孔ボードをネジで固定しました。もう1箇所は底板と扉も固定しました。

 扉をストッカーに取り付けたところです。

 完成したスライドストッカーです。

調味料など収納した様子

 調味料類を収納してみたところ、中段のガードレールの位置が高かったため取り出ししづらいことがわかりました。そこで、ガードレールを3㎝ほど下げる改善をしたいと思います。

ガードレールの改善

 元々のガードレールの高さでした。これでは中段の収納したものが取り出しづらいことが判明しました。改善したいと思います。

 フックを抜いて、フックのL字部分を一旦真っすぐに伸ばします。再度、3㎝ほど上部でL字に曲げなおします。

 L字部分を曲げなおしたところです。

 棚板に差し込みなおしました。随分ガードレールが低い位置になりました。棚から調味料が落ちなければよいので、これぐらいの高さで十分かもしれません。
 時間を見て、図面も修正したいと思います。

調味料を収納したところ

 実際に調味料類を収納してみました。棚にはアルミクッションシートを敷いています。写真はガードレールの位置を下げたものです。これで中段も取り出しやすくなりました。

 設計編はこちらです。見逃した方はこちらからどうぞ。

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