【作品】【施術台】施術台の加工と組み立て

作品
脚部の罫書(けがき)

 材料の切り出しが完了したので、ここからは組み立てに向けて加工をしていきます。
 まずは、脚の部分を組み立てます。ネジ留めするための罫書(けがき)をします。脚は2X4材、脚梁は1X4材のサイズを使用するので、ネジの位置は、1X1の位置にします。罫書は物差しを使わず、1X4材の切れ端の1インチ側の幅を使うと楽です。写真は、ちょうど脚梁の端に1X4材を当てて、1インチの幅を罫書しています。1本の脚梁の両端2か所、合計12か所を罫書します。

脚部の罫書2

 ネジ穴の中心を罫書くため、脚梁の側面に1X4材を当てて、1インチの幅を罫書き、先ほどの罫書線との交点を求めます。
 合計24か所のネジ穴の位置を罫書きます。物差しで目盛りを読んで線を引くことに比べると、楽で誤差も少なく、目盛りの読み間違いミスが起こりません。

ボール盤でネジ明け

 罫書した24か所にネジ留めの下穴をボール盤で明けます。ボール盤で開けると、確実に垂直に開けられるので量産には欠かせません。
 木ネジは呼び径:3.8 × 38のコーススレッドを使用するので、下穴には3㎜径の木工用ドリルを使用しています。木工用ドリルは、先端がキリ上になっているので罫書線との位置決めがし易いです。

座繰り(ざぐり)

 下穴を明けたので、次に座繰り加工をします。写真の下側が座繰りしたもので、上側が座繰り加工しているところです。使用する木ネジは、皿ネジなので、すり鉢状の座繰りになります。
 自分も木工をやり始めたときはそうでしたが、下穴や座繰りをせずにいきなり、ネジ留めしていたころがありました。下穴や座繰りをせずにネジ留めすると、特に木口付近ではネジのあたりから板に亀裂が走り、せっかくの作品が台無しになります。

座繰り用ビット取り付けジョイント

 1つのネジ留めには、下穴 –> 座繰り –> ネジ留めの工程があります。それを1つのドライバで行おうとすると、下穴用ドリルビット、座繰り用ドリルビット、ネジ留め用ビットを取り換えないといけません。結構、手間です。
 そこで写真のようなワンタッチでビット交換できる工具を愛用しています。下穴用(黒)と座繰り用(赤)を用意しておくと、ネジ留め用ビットの先にワンタッチで取り付けできて便利です。

 愛用しているものは、トップ工業製の電動ドリル用ワンタッチビットジョイントです。複数のカラーが出ているので用途別に色を変えて揃えられます。
 特に便利なところは、ドライバビット側の取り付け部(シルバー部)を引っ張るとプラスビットから取り外せて、プラスビットに取り付けるように押し込むと、ロックされるところです。

ジョイントを取り付けたところ

 座繰り用ビットのジョイントを取り付けたところです。ワンタッチで取り付けロックされて、すぐに座繰り加工が行えます。

脚部の下穴開け

 次に、脚梁部と脚部の位置を合わせて、脚梁部に明けた下穴と合うように脚部側に下穴を明けます。脚部と脚梁部はクランプで位置合わせ、固定した上で、脚梁部の下穴にドリルを入れて、脚部に下穴を明けます。この下穴は2.5㎜の木工用ドリルで明けています。脚梁部を脚部と木ネジでがっちり挟み込んで固定するため、少し径の小さい下穴としています。

木ネジ留め

 脚部と脚梁部をコーススレッド(木ネジ)で留めていきます。下穴を明けているのでスムーズに留まります。また、板の割れも発生しません。

ネジ留めしたところ

 脚梁部と脚部をネジで固定したところです。座繰りしているおかげで、ネジ頭の面と板表面が面一になっています。
 今は、仮組みしているので、脚梁部と脚部はボンド付けしていません。

1脚分の仮組み

 両脚をネジ留めして仮組みしたところです。3台分作りますが、まずは1台だけ仮組みまで作ります。同様にもう一脚分、作成しておきます。

フレーム部の罫書

 脚部の仮組みが終わったので、次にフレーム部の仮組みを行います。
 フレーム部のネジ留めのための罫書を行います。フレーム部は1X4材同士をネジ留めするため、1/2 X1インチの位置にネジ留めします。9㎜の合板の板切れを使って同様に罫書します。全部で12か所です。

下穴と座繰り

 脚梁部と同じようにフレーム部も下穴、座繰り、脚部に相当するフレーム部の留める側も下穴を明けていきます。
 写真はコーナークランプを使ってフレーム同士をクランプしています。長物材同士を直角にネジ留めするのは、固定しづらく作業性が悪いです。このようなときにコーナークランプなどを使うと多少楽になります。

木の反り

 よく見ると、クランプの反対側の角がずれているのがわかります。これは木が反っているためです。SPF材は、安価で手軽に購入できるのですが、曲がり、反りあるものが多いです。
 プレナー(自動カンナ盤)などで反り、曲がりを補正することもできますが持っていないので、矯正します。

片側をネジ留め

 片側だけ角を合わせて、ネジ留めします。
反対側の角が合わず、ズレています。これをクランプで矯正してやるわけです。

クランプで反りを矯正

 ズレている分だけクランプで矯正してやります。最大900㎜までクランプできるものを持っているので、これで矯正します。このクランプは学習机を製作したときに購入したものです。

矯正後

 角が面一になるようにクランプで締めあげていきます。ちょうど面一になったところで、ネジ留めします。ここでもボンドは付けないで仮組みです。
 コーナークランプでは直角を維持することはできても、締めあげるほどクランプ力はないので不向きと思います。

矯正してネジ留め

 矯正してネジ留めという具合にフレーム部全体をネジ留めしていきます。
 念のため申し上げると、このように部分矯正して留めていくと、最終的にはフレーム部全体が捩れてしまいます。これはどうしようもありませんが、今回は施術台を作成しています。つまり、人が施術台に寝てくれるので、そのたびに人の重みで矯正される見込みであり、問題ないと思います。
 学習机の場合は、天板や引き出しが多数あるので反り捩れが少ない集成材を使用しました。

2脚とフレーム部

 2脚とフレームのネジ留めができました。
続いて、フレーム部の桟を取り付けます。

桟部の罫書

 桟は、フレーム端面から20㎜下に取り付けます。ここでも20㎜の切れ端を使って罫書します。罫書箇所は、写真の両端の箇所とフレームの真ん中あたりに罫書線を入れます。桟は長いため、両端の位置を合わせても中央付近でずれている可能性があるので、中央付近でも位置合わせしておきます。

桟を配置したところ

 罫書したところに桟を配置していきます。切り出した寸法通りか確認します。ぴったり、桟が嵌っています。良さそうなので取り付け作業に移ります。
 まず、桟の面取りをします。フレーム部と面しない側の2辺の角を面取りします。

治具で桟を固定

 桟の数も全部で12本あるので、効率よく面取りできるように簡易即席の治具を使います。
上側のクランプで治具をテーブルに固定し、ついでに桟が横にずれない役割も担います。中のクランプは、桟が横にずれないように固定し、下側のクランプで桟が下にずれないようにします。桟の右側の角を鉋(かんな)で面取りします。

鉋で面取り

 治具に固定した桟を鉋で面取りします。こうすることで手で桟をしっかり押さえなくてもズレずに鉋掛けできます。
 面取り量を何ミリとせずに、鉋掛けする回数で均一にします。ここでは4回掛けします。

1台分の桟の面取り

 1台分、4本の桟の面取りが完了しました。鉋4回掛けという目安でも結構均一に面取りできています。

桟にネジ留めの罫書

 桟にネジ留めの罫書をします。ネジ留め位置は、両端から50㎜で、桟の長いものはその間を3等分する2か所とし、桟の短いものは中央に1か所としました。要は、長手の桟は4点留め、短手の桟は3点留めです。
 写真は4本重ねて端から50㎜に罫書しています。

桟の罫書2

 桟の幅は25㎜なので、12.5㎜で罫書線を入れて、ネジ留め位置を罫書いていきます。

罫書いたところ

 1台分の桟にすべて罫書したところ。

ボール盤で下穴開け

 同様にボール盤で桟の下穴を明けていきます。
 4本がばらけないようにクランプで固定して、1枚板ようにして、下穴を明けていきます。

 ボール盤はRYOBIの卓上ボール盤 TB-2131を使用しています。RYOBIも今では京セラのブランドになっていますね。
 ボール盤のテーブルに自作のテーブルを付けて大物の材料を安定して置けるようにしています。自作テーブルももう少し改良したいと思っています。その時は、アップしたいと思います。

桟の下穴と座繰り

 桟に下穴と座繰りを施しました。やり方は上述と同じです。

桟のネジ留め

 桟をフレームに取り付けて、フレーム側の下穴を明けます。フレーム側の厚みは19㎜です。下穴明けるときに貫通しないように注意が必要です。

マーカー

 そこで、下穴ドリルにマーカーを付けます。ここではテープを巻き付けてマーカーとしてます。
 桟に使うコーススレッドは、呼び径:3.8 × 32で、座繰り深さを考慮して28㎜のところにマークを付けます。

フレーム側の下穴

 マークを付けた下穴用ドリルで、マークのところまで下穴を明けます。勢いよく穴を明けると、マークを通り過ぎて、貫通してしまうので注意が必要です。

桟のネジ留め

 フレームにも下穴を明けたので、ネジ留めします。ここでもボンドは付けていません。仮組みです。

桟の仮組完成

 フレームへの桟の取り付けが完了しました。
 次は、フレーム部と脚部の取り付けになります。ここで取り付け方法の設計変更を行います。元々は、ボルトで固定するつもりでしたが、より運搬しやすいように取り外しできるようにボルト留めします。続きは、施術台の設計変更をご覧ください。

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