先回は、Raspberry PiでPWM(パルス幅変調)信号を発生させて、RGB LEDに対して1677万色の点灯を試しました。時間の関係でサンプリングしたものを確認することができました。
注意:本稿では、家庭用AC100Vを扱った内容が含まれています。本稿の内容を実施されて事故が発生しても一切の責任を負いかねますのでご了承ください。
でも、PWM信号は机上の矩形波でしか知りません。本当にこんなきれいな矩形波を発生できているのかなあ?
PWM信号を、矩形波を見てみたい!見たい!見たい!見た~い!
オシロスコープを買っちゃいました
電気信号をリアルタイムで波形として見えるようにする計測機器がオシロスコープです。オシロスコープを知ったのは、中学1年(1977年頃)のときです。電子工作を始めたときに大阪日本橋の電気店に仰々しく陳列されていたの覚えています。そのころはアナログ式のオシロスコープで画面もブラウン管でした。ミニタワーパソコン程度の大きさがあり、価格も20万円を超えていました。ツマミやスイッチがたくさん付いていて、それだけでわくわくしていました。まるでウルトラセブン 地球防衛軍極東基地内の装置のように思っていました。ww
思い出を現実にということで、オシロスコープを買っちゃいました。個人でも購入しやすくなっていたのですね。購入したのは以下のものです。
メーカー | RIGOL |
タイプ | DS1102Z-E |
主要スペック | 2ch、100MHz周波数帯域幅、1Gサンプル/秒 |
モニター | 7インチWVGA (800*480) TFTカラー液晶 |
インタフェース | USBデバイス, USBホスト, LAN(LXI) |
本体より3倍くらい大きな段ボール箱で届きました。ワクワク!
中は、スカスカ。少々梱包が凹んでも大丈夫なようになっていました。
重量は3.2Kg、寸法は314㎜×161㎜×123㎜です。ずっしりしています。電源ケーブル、プローブケーブルやLANケーブルを付けてもビクともしないので安心して作業できそうです。これは案外大事かも。
前足を出すと適度に傾き机上におくと、ちょうどいい目線になります。画面も見やすく、ツマミやスイッチの操作もしやすいです。
本体裏側です。電源インレット、LANポート、USBデバイスポートがあります。LANインタフェースを介して機器をネットワークに接続し、リモート制御できます。また、USBインタフェースを介してオシロスコープをPCに接続し、PCソフトウェアを使用してSCPIコマンドを送信したり、ユーザー作成のプログラムからオシロスコープを制御したりできるようです。
本体裏側の反対側には、トリガ出力とパス/フェイルのBNC端子があります。計測した信号のトリガーを外部に出力して、外部機器と同期をさせることができるようです。たぶん、使わないと思います。
2chの信号を同時に計測できるように、2本のプローブケーブルが付属しています。
初めて知ったのですが、プローブというのは単なるケーブルではなく、プローブ内部に電子回路が入っていて信号の補正やオシロ本体を保護する重要な部品です。
また、計測する信号に影響しないように非常に細い電線が使われているため、プローブを引っ張たり折り曲げたりすると破損してしまいますので、丁寧に扱う必要があります。
アース付きコンセントの準備
RIGOLのホームページからダウンロードしたマニュアルを読むと、オシロスコープを使うには準備や手順が必要なことがわかりました。
まず、重要なのが家庭用の100Vコンセントです。
オシロスコープの電源ケーブルには3Pプラグが付いています。1つ余分に出ている端子はアース端子です。オシロスコープでは、このアース端子は重要な役割がありますので、必ずアースに接続させます。
ところが、家庭のコンセントは2Pプラグ用のコンセントがほとんど(※)です。そうです。3Pプラグを挿せないんです。アースもないです。
※2022年12月に内線規程が改定されて、住宅に施設するすべてのコンセントは、接地極付コンセント(3P プラグ用)とすることが推奨から勧告的事項となりました。2023年以降の新築は、オシロスコープに優しい家になりそうですね。(笑)
水を使うキッチンや洗面所のコンセントはこのようにアース端子付きのコンセントが設置されているはずです。これは水がかかる、水を使うような家電製品は漏電による感電防止のためにアースに接続する必要があり、アース端子付きコンセントが用意されています。
でも、これでも3Pプラグは挿せません。
3P→2P変換アダプターというものがあります。このアダプターで3Pプラグを2Pプラグとアース線に変換することでアース端子付きコンセントに挿すことができるようになります。
ところがですよ。アース端子付きコンセントはキッチンや洗面所にありますが、すでに空きはありません。
そこで、アース端子付き3P→2P変換電源タップを自作しました。
ポイントは、電源タップの2Pプラグは、リビングのコンセントに挿します。電源タップのアース端子は、キッチンのアース端子付きコンセントのアース端子に接続します。オシロスコープの3Pプラグを電源タップの3Pコンセントに挿します。これで丸く収まりました。
AC100Vコンセントの極性に注意
AC100Vは、最大+141V、最小-141Vで実効電圧が100V(≒1/√2×141)の正弦波で、東日本では50Hz、西日本では60Hzで供給されています。家電製品の電源プラグ(2P)は向きに関係なくコンセントに挿すことができますが、コンセントには極性があります。検電器という道具を使うと確認することができます。
私が使っているペン型ネオン管式検電器です。一見マイナスドライバーに見えますが、グリップ部分に回路が入っています。
検電器を分解すると、右側からネオン放電管、抵抗器、ばね、電極端子です。ネオン放電管は放電電圧以上の電圧がかかると微小な電流でも鮮やかなオレンジ色に放電する特徴があります。抵抗器は、数MΩが使われています。2つの部品をばねで押さえています。グリップの頭には電極があり、ばねと接続していてドライバーの先端から繋がっている状態です。
ネオン管検電器の使い方は、グリップ部分を持って、コンセントの穴に先端を差し込みます。指でグリップ頭の電極を触れ(押さえ)ます。ホット側の場合、ネオン管がオレンジ色に光ります。コールド側の場合、光りません。これにより極性を確認することができます。
AC100Vはアース(0V)を基準に相対的な電圧を示します。アース側をコールドといい、相対的な電圧がある側をホットといいます。
最初、指で検電器の電極を触ることに感電するんじゃないかと恐怖を感じたものでした。実際、触れると電流は流れますが極僅かなため感電しません。
反対の穴に検電器を挿して確認しました。こちらはネオン管が光りません。つまり、コールド側です。
コンセントをよく見ると、2つの穴のうち左側が長く、右側が短いです。長い側はコールドで短い側はホットというぐあいに義務付けられています。
先ほど極性を確認しましたが正しい極性になっていましたね。
2Pプラグだとどちらの向きにもさせますが、3Pプラグの場合、向きが決まってしまいます。つまり、3Pプラグのオシロスコープは、極性も合わせる必要があるということです。
しかし、自作の電源タップは2Pプラグに変換しているため、コンセントに挿す場合、極性を確認して挿す必要があります。
そこで、予めコンセント側の極性を確認して、コンセント側と電源タップのプラグにマークを付けておきました。これで安心です。
アース端子は本当にアースされている?
昔の家だとアース端子がなく、水道の蛇口に巻き付けていたケースがありました。金属の水道管は地中に埋まっているので、アースと同じと考えたのですね。でも、これは禁止されています。
さて、アース端子がアースされているかは、どこの家にもあるマルチメーター(テスター)で確認できます。
まずは、マルチメーターをAC電圧に設定して、テスター棒をコンセントの2つの穴にそれぞれ挿します。交流電圧が102.5Vと表示されました。AC100Vといっても実際はわずかに高い電圧を示します。
次に、コンセントの短い穴(ホット)に赤のテスター棒(どちらでもよい)をさします。黒のテスター棒をアース端子に当てます。その時の電圧は103Vを示しています。アースされていることが確認できます。これが90Vなど中途半端な値を示すと、アースされていないことを意味します。
オシロスコープに電源投入
ようやく、オシロスコープに電源投入できます。マニュアル確認から電源タップ作成までに3時間かかってしまいました。
自作電源タップにオシロスコープの3Pプラグを挿し込みました。
電源ON!
しばらくするとモニターにRIGOLの文字が表示されました。
オシロスコープが立ち上がりました!
まとめ
Raspberry Piを使ってPWM信号を発生させて、LEDが点灯することは確認しましたが、PWM信号はどういうものか実際の信号を観察するためにオシロスコープを購入しました。電源入れて、「はい」波形確認というわけにはいきませんでした。オシロスコープの電源から準備が必要でした。今回はその準備について紹介しました。私のようにオシロスコープを使ってみたいという方の参考になれば幸いです。次回は、オシロスコープでPWM信号を確認するところまで行きたいと思います。