自作のサンドブラストを使って、グラスにブラスト細工をしたいと思います。初回のグラス細工はとりあえずやってみた程度でした。自分としてはもっと細かな細工がしたいなあ、と思っていますが技量が伴っていません。
サンドブラスト細工の手法
そこで、サンドブラストによるグラス細工を調べてみました。手法は大きく2つあることがわかりました。1つは、初回に試したようにカッティングシートを使い、抜いたところをサンドブラストで彫る方法です。もうひとつは、露光フィルムを使い、現像で抜いたところをサンドブラストで彫るという方法です。
カッティングシートによる方法
マスキングシートをガラスに貼り、絵を描きます。次に、カッターで絵の部分を切り、剥がします。最後に、その部分にサンドブラストを吹き付けて細工を完成させます。
コップなど曲面上でカッティングするのは慣れが必要です。そこで、マスキングシートを平らな面でカッティングしておき、それをグラスに貼り付ける方法もあります。ただ、細かな模様や浮島になるような模様の場合は、貼り付けるときに模様がずれたりします。このようなときは、アプリケーションシート(転写シート)にカットした模様を転写(貼り付け)し、アプリケーションシートごとガラスに貼り付けます。最後にアプリケーションシートを剥がすことで模様がずれずに貼ることができます。
露光フィルムによる方法
パソコンでデザインを作成し、専用シートにモノクロで印刷します。印刷したシートと露光フィルムを重ね、露光機で紫外線を当てて硬化させます。露光フィルムを現像することでマスキングシートとなります。最後に、マスキングした部分にサンドブラストを吹き付けて細工を完成させます。
専用シートに印刷するというのは、OHPシート(TPシート)を作成したことがある方は、ピ~ンと来ると思います。今ではPowerPointのようなプレゼンテーションソフトを使ってモニターやプロジェクターに表示しますが、2000年以前は透明シートにプレゼンの内容を印刷したりマジックペンで手書きしたりして、作成したシートをOHP(オーバーヘッドプロジェクター)でスクリーンに投影していました。
話を戻して、専用シートとは、インクジェットプリンタ専用の透明シートで黒色で印刷できるものです。インクが載りやすいように表面処理されています。
また、露光フィルムには、大きく2種類あります。水現像タイプと水現像不要タイプです。
水現像タイプとは
水現象タイプは、紫外線が当たった部分は樹脂が硬化(低粘着化)して残り、研磨材を通さず彫れないようになります。紫外線が当たらなかった部分は、水流を当てることでフィルム表面の樹脂が水に溶けて無くなり、研磨材で彫れるようになります。
メリット・デメリット
水現像タイプのメリット・デメリットは以下です。
メリット:
・現像後のシートを1か月程度保管ができます。
・保管できるため一度にたくさんのシートを作成することができます。
・シートの黒塗りした部分が彫れるため図案の反転印刷が不要です。
デメリット:
・水現像作業やフィルムを乾燥させる手間と時間が必要です。
水現像不要タイプとは
水現像不要タイプは、紫外線が当たった部分はフィルム表面の樹脂が硬化(パリパリ化)して、研磨材を当てるとパリパリになった樹脂が剥がれて彫れるようになります。紫外線が当たらなかった部分は低粘着性のある樹脂のままで研磨材を通さず掘れないようになります。
メリット・デメリット
水現像不要タイプのメリット・デメリットは以下です。こちらのメリットとデメリットは表裏の関係ですね。
メリット:
・現像作業とフィルムの乾燥作業が不要なので直ぐにサンドブラスト作業に取り掛かれます。
デメリット:
・完成したマスクシートは直ぐに使用する必要があります。紫外線で露光が進むため。
・シートの透明部分が彫れるため図案の反転印刷が必要です。
水現像タイプ露光フィルムの使用
今回は、水現像タイプの露光フィルムを使って、マスキングシートを作成したいと思います。理由は、露光フィルムの扱いに慣れていないので、現像してゆっくりブラスト作業ができる方がよいと考えたからです。また、紫外線の強さによって露光時間が左右します。露光時間を決めるためのサンプルテストをするために現像してフィルムを固定化させて、比較できるようにしたいためです。
さらに、図案の反転印刷も不要なのでひと手間かけずに済みます。
水現像タイプ露光フィルムの入手
この水現像タイプ露光フィルムは、一般ではなかなか手に入りませんでした。近所のホームセンターや複数の大手ネット通販ではほとんど取り扱っていないようです。
見つけたのはこちらです。20mも要らないし、22,000円もするのは手が出ません。欲しい量はA4サイズを複数枚程度です。
グラスのサンドブラスト細工で色々検索して見つけたのが以下のサイトです。
こちらが、グラクラマーケットさんです。ガラスに関するクラフト材料や機材を専門に取り扱っているサイトです。個人でも購入できました。
このサイトからR4エコノミーパックを購入しました。内容は、サイズ:約25cm×15cm 厚さ100μ 4枚入りで、お試しにちょうどいいものでした。消費税、送料含めて3,520円でした。
送料節約のためネコポスで発送依頼して、すぐに届きました。紫外線を通さない袋に入れられて届きました。使うまでは開封しないので、露光フィルムシートの写真撮影は準備ができてからです。楽しみ。
マスクシート作成に必要な機材の準備
さて、露光フィルムが入手できたので、次は露光機の準備です。露光機も色々調べてみました。
主な露光機およびUVライトの種類を列挙してみました。価格は税込み、送料込みです。
1.専用露光機フラットタイプ(蛍光管)
ネット通販では、いくつか露光機が販売されています。
・価格:30,000円前後
・露光サイズ:260㎜×210㎜
・出力:48W
・デジタルタイマー付き:0~550秒
タイマーで設定した時間だけ紫外線を照射します。便利な機能です。
2.専用露光機シリンダータイプ(蛍光管)
こちらは、グラクラマーケットで販売されているコンパクト露光機 レトラライトです。コンパクトだけど価格はビッグだぜ。
・価格:107,800円
・露光サイズ:約280×390mm以内(A4可)
・出力:20W(推定)
一般の紫外線蛍光管でこのサイズだと20W
・アナログタイマー付き
3.ネイルレジン用露光機(LED)
ネット通販のネイルレジン用露光機です。LEDタイプの光源です。
・価格:3,600円前後
他にも1,000円~10,000円で多数あり。
・露光サイズ:両手が入る程度。
23.5D x 20.5W x 11.5H cm
・出力:220W
・デジタルタイマー付き:10,30,60,99秒の4パターンの選択式
4.汎用UVライト(LED)
多目的LEDタイプのUVライトです。
・価格:3,600円前後
・露光サイズ:フリー、照射の距離次第
・出力:60W
他に30W、120W、200Wオーバーもあり。
・タイマー:無し
・スイッチ:有り
露光機の選定
DIYerとしては、できるだけDIY部分を残したい点と、DIYするからには費用は押さえたい点という2つの観点があります。候補は、以下の2点に絞りました。
・No.3 ネイルレジン用露光機タイプ
・No.4 汎用UVライトタイプ
この2つのグループから具体的に選定したのは、以下の2点です。
LEDネイルランプ
選定ポイントは以下です。
・高出力(288W)
・露光エリアがこのタイプでは広い
・間欠ではあるがタイマー付き
・天板がもの置きとして利用できる
ネガティブポイントは、価格は5,000円を超える6,180円である。
YC 紫外線 ブラックライト
選定ポイントは以下です。
・高出力(60W)
・露光エリアはフリー
・DIYでケーシング、タイマー化可能
・価格は5,000円未満の3,999円
どちらにするか決めるのに時間がかかりました。最終的に『ポチッ!』としたのは、汎用UVライトの「YC 紫外線ブラックライト」でした。
決めた理由は、以下の2点です。
・汎用のUVライトであり、露光目的以外のDIYにも利用できる点
・強すぎずそこそこの出力もあり、低価格である点(強すぎると露光の制御が難しい)
露光機(UVライト)の購入
こんな感じで梱包されていました。
仕様上は防水IP65と記載されていますが、隙間だらけなので信用しない方がよさそうです。(笑)
やわですが、折り畳みのスタンドが付いています。また、電源ケーブルにスイッチが付いているので使い勝手はよさそうです。
明るい部屋でスマホのカメラで撮影しました。かなりの輝度があり広告の写真通りです。眩しい。もしかすると強すぎるかも…。
ちょっと実験してみました。
使用済みハガキにブラックライトを照射してみました。バーコードが印刷されていますね。
サラダ油にブラックライトを照射してみました。蛍光に発色しますね。
キッチンに照射すると跳ねた油を確認することができます。
その他にも、尿、カビ、繊維の埃、白いYシャツ、宝石や鉱物、栄養ドリンク(ビタミンB2や蛍光色素添加物を含むもの)などブラックライトに反応するものがたくさんあります。光るものを探すのも楽しいですね。トイレの尿跳ね、浴室のカビ、ペットの尿の確認など暮らしにも活かせそうです。
ブラックライト(UVライト)は刺激の強い光なので、皮膚への曝露や直視は控えましょう。
インクジェットプリンタの入手
まだまだ、準備するものがあります。露光フィルムに図案を露光させるために透明シートに図案を印刷する必要があります。透明シートへの印刷はインクジェットプリンタが必須です。残念ながらレーザープリンタのトナーでは透明シートに完全に定着しません。紫外線が透過しないよう真っ黒に印刷する必要があるため、インクジェットプリンタを用意します。普段使いはレーザープリンターなので、このためだけに新品を購入するわけにはいきません。
ジャンク扱いのオークションで一抹の不安はありましたが、4,500円(送料込)で落札した「HP OfficeJet200 Mobile」です。
少し高かったですが、めちゃ小さく、ヘッド一体のインクタンクなので目詰まりを気にしなくてよいです。放置OK。あとはWiFiが使えます。
さらに、Li-ionバッテリを購入すればモバイルも可能です。(買わないと思うけど)
インク購入してテスト印字も問題ありませんでした。
費用一覧
今回は、調査や準備だけで何もDIYしなかったけど、ここまでです。かかった費用は以下の通り。もう、サンドブラストの費用を超えてしまいました。(汗)
合計金額:13,665円
作業時間:0Hr
項目 | 費用 | 備考 |
---|---|---|
R4エコノミーパック | 3,520 | 水現像タイプ、25cm×15cm、4枚 |
YC 紫外線ブラックライト | 3,753 | 395-405nmUV、60W |
HP OfficeJet200 Mobile | 4,500 | インクジェットプリンター |
インクカートリッジ 黒 | 1,882 | HP HP62 C2P04AA |